- 2025年1月10日
とびひ(伝染性膿痂疹)
- 1.「とびひ」とは?
- 2.「とびひ」の症状と進行
- 3.当院での「とびひ」診断と治療
- 4.ご家庭で気をつけること
- 5.よくある質問
1.「とびひ」とは?
伝染性膿痂疹は、「とびひ」とも呼ばれる細菌性の皮膚感染症です。この疾患は一般的に黄色ブドウ球菌または溶血性連鎖球菌(溶連菌)が皮膚の表面に感染することで発症します。肌の露出が増える夏場に多く、小さな切り傷や湿疹、虫刺されを掻き壊すことによって傷口から細菌が侵入し、急速に感染が広がります。幼稚園や保育園など皮膚の直接接触の多い環境では、特に注意が必要です。
2.「とびひ」の症状と進行
最初は小さな赤い発疹や水疱が見られ、そののちに皮膚にじくじくした部分やかさぶたが形成されます。特に乳幼児から小学校低学年に多く発生し、急速に広がるため、保護者様の早期の対応が求められます。
3.当院での「とびひ」診断と治療
当院では、まずは視診により「とびひ」の有無を判断します。診断結果に基づき、抗生物質を使った治療を開始します。内服薬と外用薬によって感染の拡大を防ぎます。難治な場合は必要に応じて病変部位の細菌培養検査を行い、原因の細菌を同定し抗生物質を変更します。
4. ご家庭で気をつけること
感染を家庭内で広げないためには、患部を覆い指でかかないようにする対策が重要です。お子様が無意識に触れてしまわないよう、外用薬を塗ったうえでガーゼとテープなどで患部を十分に覆ってください。また、手洗いを行い、特に夏はシャワー浴をして患部を泡立てた石鹸で洗い清潔に保つことが大切です。患部のガーゼは適宜交換し、周囲の皮膚を乾燥させないように保湿を心がけてください。そして、症状が完全に治るまではプールや公共の入浴施設の利用を避けるようにしましょう。再発を防ぐためには普段からのスキンケアも重要です。
5. よくあるご質問
Q1: 「とびひ」は大人にも感染しますか?
A1: はい、「とびひ」は子どもに多く見られますが大人にも感染する可能性があります。例えば、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が弱まった場合は、大人でも広範囲に感染することがあります。
Q2: 学校や保育園に通っている子どもは登校・通園できますか?
A2: 病変が広範囲の場合や発熱などの全身症状のある場合には、学校や保育園を休んでの治療を必要とすることがあります。しかし全身症状がなく、患部の外用処置を行い十分に覆ってあれば、登校・通園してもかまいません。
Q3: 「とびひ」が治るまでの期間はどれくらいかかりますか?
A3: 症状や治療方法によりますが、多くの場合、適切な治療を行えば1週間から10日間程度で改善します。
Q4: 家族内で感染を防ぐためにはどうすれば良いですか?
A4: 各人が手洗いを徹底し、タオルや衣類は共用せず個人ごとの使用としてください。病変部の消毒(イソジン、マキロンなど)や小さな絆創膏(カットバン、バンドエイドなど)による部分的な保護は、家族内感染対策としては不十分です。内服抗生剤と外用抗生剤を医師の指示通り使用し、患者および同居家族が患部に触れないよう、ガーゼとテープなどを使用して患部を十分に覆うことが大切です。
Q5: プールに入っても大丈夫ですか?
A5: プールの水を介してうつることはありません。しかし、患部の直接接触やタオル・ビート板を介してうつることがありますので、プールや水泳は「とびひ」が治るまで禁止してください。
より詳しく「とびひ」について知りたい方は、日本皮膚科学会のQ & Aページもご覧ください。 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/q01.html