• 2024年12月12日

紫外線療法

1.当院で使用している紫外線治療器

 

当院では、ウシオ電機の皮膚科向け紫外線治療器シリーズの最新機種「セラビーム® UV308 mini LED」を使用しています。この機種は308 nm のナローバンドUVB領域の波長にピークを持つ高出力LEDを採用しているので、1か所当たりの治療時間は10秒以下になります。

2.紫外線療法とは

紫外線療法とは、特定の皮膚疾患に対して医療用の紫外線を照射する治療方法です。紫外線はその波長によってUVA、UVB、UVCに分類されます。紫外線療法ではUVAまたはUVBが使用されます。光源には蛍光ランプ、エキシマライト、エキシマレーザー、LEDがあります。

紫外線が皮膚の免疫系へ作用したり、メラノサイトを刺激したりすることで、症状の緩和や病変部分の色素再生・発毛が期待できます。また、表皮角化細胞へ作用して表皮細胞の異常な増殖を抑えることで、乾癬や掌蹠膿疱症にも効果があるとされています。

紫外線療法の治療の流れは、まず皮膚科医が症状に最適と判断する紫外線の波長(医療機器)を選択し、毎回の紫外線照射量を調整します。治療時は、目を守るため保護メガネを装着した上で、特定の部位(患部)に数秒から数分間紫外線を照射します。治療の頻度としては、週に1~2回の治療を行うことが多いです。

3.このような方におすすめの治療です

紫外線療法は、乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉症、皮膚の悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症に対して保険適用があります。

ただし紫外線療法は、リンパ腫を除く皮膚がん患者、顕著な光過敏症を持つ方、免疫抑制剤を使用している方では避けた方がよい場合があります。治療を開始する前に十分医師と相談し、健康状態に応じた治療計画を立てることが重要です。また、紫外線療法は定期的な通院が必要であり、治療効果が現れるまでに時間がかかることが多いため、受診スケジュール管理や治療方針に対する理解を深めることも大切です。

小児では、期待される効果と共に後述する発がん性の問題も含めた副作用についてご理解していただいたうえで、副作用に注意しながら期間を決めて実施いたします。参考までに、乾癬の光線療法ガイドライン(2016年)では、10 歳未満の者は相対禁忌(避けたほうが良い症例,実施の際には厳重な経過観察が必要)としています。しかし、10歳未満であっても、局所照射を行うターゲット型光線療法は相対禁忌から除くとしています。10歳以上では、光線療法行ってよいが総照射回数の制限をすべきとしています。

妊婦でナローバンドUVB療法は禁忌ではありません。むしろ全身治療を要する程度の妊娠中の尋常性および滴状乾癬患者さんでは、ナローバンドUVB 療法は優先順位の高い治療とされています。

4.治療対象となる主な疾患

紫外線療法の治療対象となる主な疾患と具体的な治療内容および注意点は以下の通りです。

○尋常性乾癬:乾癬の光線療法ガイドライン(2016年)では、皮膚がん発症のリスクからナローバンドUVB療法において総照射回数400回で治療方法を検討すべきとしています。十分な効果を得るには週2回以上の照射が必要であり、光線療法と活性型ビタミン D3外用薬の併用が有効としています。

○アトピー性皮膚炎:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024年版では、「適切な外用療法やスキンケア,悪化因子対策で軽快しない例や,他の治療で副作用を生じている中等症以上の難治状態のアトピー性皮膚炎には,紫外線療法を行ってもよい」と記載されています。確立した選択基準や照射プロトコールはありません。

○尋常性白斑(白斑):日本皮膚科学会の尋常性白斑診療ガイドライン(2012年)において成人(16歳以上)の尋常性白斑の患者に対する治療として 「ナローバンドUVB は紫外線療法の中で第1選択としてよい」と記載されています。ステロイド外用剤なども使用しながら週に1回~3回照射します。症状が改善するまで6か月間または計60回照射します。副作用として、白斑周囲の皮膚に色素増強を生じることがあります。

○円形脱毛症:ナローバンドUVB 療法による有効率(>50% の発毛)は40%前後で発毛までの平均照射回数は20回前後です(海外データ)。ステロイド外用剤なども使用しながら週に1回照射します。日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドライン2024において、治療開始後半年~1年で評価を行うとされています。

保険適用のあるそのほかの疾患でも、外用薬のみでは治療が難しいことが多く、紫外線療法が有効な選択肢となります。ただし病状によっては紫外線療法以外の治療が優先される場合があるため、まずは皮膚科専門医の診断を受けることが大切です。

5.紫外線療法の副作用

紫外線療法では、副作用を生じることがあります。最も一般的な副作用は日焼け様反応で、治療後に皮膚が赤くなり、ひりひり感や腫れを生じることがあります。特に紫外線の照射量が多い場合や敏感な肌の場合に、水疱など強い日焼けのような症状が出る可能性があります。また、長期的な紫外線療法は、光老化(しわやたるみ、皮膚の乾燥)を引き起こすリスクが高まります。

さらに、長期間にわたって紫外線療法を行うと、皮膚がんのリスクがわずかに増加することが動物実験の結果などから想定されています。人間での発がんは紫外線照射後数十年を経て発生してきますので,現時点ではナローバンドUVB 療法による皮膚がん発生のリスクに関する具体的な報告はありません。

これらの副作用に対処するため、医師の診断のもと照射量を適切に調整し、副作用が出た場合は休止や治療法の見直しを行うことが一般的です。

6.紫外線療法(セラビーム® UV308 mini LEDによるナローバンドUVB 療法)に関する「Q&A」

Q1:  紫外線療法にはどのくらいの頻度で通う必要がありますか?

Q2: 治療中に痛みや不快感はありますか?

Q3: 紫外線療法を受ける際に注意すべき副作用はありますか?

Q4:  どのような人が紫外線療法を受けられないですか?

Q5: 紫外線療法は保険適用されますか?

Q6:保険適用で紫外線療法を受ける場合の費用はどのくらいですか?

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